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【 食品添加物 その2 お酒の防腐剤 】 [雑学]

【 食品添加物 その2 お酒の防腐剤 】

 週末、昵懇のS部長とK部長と痛飲したのですが、翌日どうも二日酔いになってしまいました。 

生ビールと紹興酒、焼酎にウィスキーにワイン・・・さて、どれが二日酔いの原因だろうか・・?と回らない頭で考えました。

週明けに、S部長に会うと、彼も二日酔いだったとの事。

「 原因の酒は何でしょうかね?紹興酒かな? 」

「 いや違う、紹興酒では二日酔いは無い。これはワインの仕業ですよ 」とS部長。なるほど、確かにワインで悪酔いした記憶は、何度もあります。・・・・・そこで昔の記憶がよみがえりました。

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ずっと昔、日本酒には防腐剤が入っていると聞いて不思議に思った事があります。だって、酒にはアルコールが入っていて、消毒にも使えるくらいだから、それが菌で腐敗する・・というのが不思議に思えたからです。

そして、さらに驚き、かつ憤慨したのは、輸出用の日本酒には防腐剤は入っておらず、国内販売用の日本酒にのみ、添加されている・・という事です。

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お酒に限らず、輸出仕様と国内向け仕様が異なり、国内向けが品質面で劣るというのは不愉快なものです、ましてそれが隠されていたとなると、裏切られた気持ちになります。

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お酒の場合、輸出の方が、輸送や流通に時間がかかり、より厳重な防腐対策を施さなくてはならないのに、逆に国内向けのみに防腐剤が添加されたのは理解できません。これは推測するに、輸出相手国の法律で、酒類への防腐剤の添加が禁止されていたからではないか・・と思います。

実際のところ、お酒に使った防腐剤の代表であるサリチル酸は無害とは言えません。

 やがて、この事実は国民の指弾するところとなり、昭和40年代の半ばに、国内販売の日本酒についても防腐剤の添加は禁止となりました。

この時期、人口甘味料や、人工着色料、漂白剤、防腐剤など多くの食品添加物の安全性が議論され、一挙に日本の食は安全になりました。 

戦後、とにかく食べられればいいや・・・と質を問題にしなかった日本の食が、安全性と質を追求する考え方に大転換した時期です。

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オヒョウの独断で言えば、サリチル酸添加は、酒造メーカー側の都合だけの行為で、消費者には「百害あって一利無し」の行為でした。消費者の健康に害を及ぼすかも知れないのに、利益の追求の為に有毒物質を添加するというのは反社会的行為です。

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日本酒は、上手に製造すれば、適切な発酵が進みますが、一部の乳酸菌などが繁殖すると、発酵現象が暴走し、酒がダメになってしまうそうです。 腐造という現象で、造り酒屋にとっては倒産の危機になります。→ 腐造については、宮尾登美子の小説にも登場します。

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今、酒造メーカーは、醸造開始時と瓶詰めの段階で、低温殺菌し、悪玉の乳酸菌(火落菌)をなくす訳ですが、一部の高級酒では、低温殺菌をしないので、お酒が腐る可能性は常にあります。 かつて日本酒に添加したサリチル酸は、酒の腐敗を防止する保険だった訳で、杜撰な醸造管理を補う、ずるい存在でした。しかし、昭和44年時点で、日本の酒造メーカーは、襟を正した訳です。

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それなのに・・・今でも防腐剤を入れた酒はあります。例えば、輸入品のワインには、防腐剤としてソルビン酸が入っています。それに酸化の進行を抑える為に、二酸化硫黄が入っていたりします。実に困った話です。

以前、ワインのコルクを抜いた時に、微かに硫黄の臭いをかいだ事があるのですが、あれはオヒョウの錯覚ではなく、本当に硫黄の臭いがしたのかも知れません。 それに、以前、フランスのワイナリーで買ったワインのコルクを抜くと、ごく短時間で味や香りが変化したのですが、日本で買ったワインでは、コルクを抜いてしばらく置いても、味も風味も変わりません。 あれは酸化防止剤のせいだったのかも知れない・・。

まあ、オヒョウは安いワインしか飲まないので本当のところは分かりませんが・・。

オヒョウがワインを飲むと悪酔いしてしまうのは、このソルビン酸と二酸化硫黄の為ではなかろうか・・・。 

それどころか、かつてオーストリアなどのワインに、エチレングリコールを添加していたという事件もありました。まったくヨーロッパの酒造業者のモラルはどうなっているのか?

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それにしても、日本から輸出する酒には防腐剤を禁止し、日本が輸入するワインには防腐剤の添加を認めさせるとは、実に怪しからん話で不平等条約とも言えます。 でもこれについて、問題視する人はいないみたいです。

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いずれにしても、日本の酒造メーカーは40年も前から添加剤を禁止し、安全な酒造りを志向してきた訳です。外国の酒造メーカーよりずっと良心的です。

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宋文洲氏は日本の食品メーカーは添加物を大量に入れている・・というけれど、こと酒造りに関しては違います。翻って、中国のワインはどうだったか・・・・。 

オヒョウは中国ワインもたくさん飲んだのですが、実は多くを記憶していません。酔いつぶれた事も幾度かあります。 

酔いつぶれたところを笑われて「君笑う莫かれ、古来征戦幾人か回る」と言い返した事もあります。あの長城ワインには、ソルビン酸は入っていたのかなぁ? 

ちなみに真摯な酒造家のブログはたくさんありますが、ひとつだけオヒョウの旧友のブログを紹介します。

http://blog.livedoor.jp/tedorigawa03k/ 

彼は「手取川」という日本酒を製造していますが、オヒョウは飲んだ事がありません。

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次号では、なぜ日本人は中国製の食品や農産物を信用しないのかについて、宋さんとは違った観点から考察します。


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コメント 2

老爺

有意義なお話、有難うございました。
 そういえば・・・「ワインでの宿酔い」は酷いですね。ラベルをみるとこれどもかと化学薬品の名前が並んでいます。

 「手取川」・・・大ファンです。「吉田蔵」の酒が一番。貧乏老人には救いの神!!です。
by 老爺 (2017-11-15 14:17) 

笑うオヒョウ

老爺様 コメントありがとうございます。

このブログを書いた時点では、私は手取川を飲んだことは無かったのですが、その後何度か口にして、今は大ファンです。実は私の息子たちもファンです。この吉田蔵の社長は、中学一年から大学卒業まで同じ学校だった男で、これ以上ないほど真面目で、そして他人に優しい人物です。 ひょっとしたら、造り手の人柄が、お酒の風合いに反映するのかな?と思います。

昨今の他の日本酒は、穀物酒なのに、やたらとフルーティさをうたったり、よく分かりません。昔の二級酒のように、お燗したら、その独特のアルコール臭がキュンと鼻を突いて少しむせ、そして喉をキューッと通過する感覚を味わえるような、あまり甘くないそんなお酒が、私は好きです。ワインについては、別稿で触れたいと思いますが、ワインについて書くのは10年早い・・と誰かに言われそうです。 またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2017-11-17 08:09) 

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