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【 食品添加物 特に 防腐剤について その1 】 [中国]

【 食品添加物 特に 防腐剤について その1 】

 オヒョウの手元に、不定期で宋文洲氏からのメルマガが届きます。内容はなるほど・・・と思う事と首を傾げる事が半々です。先週届いた、「日本人が知らない日本農業」という一文には、多くの事が書かれており、簡単にまとめる事ができませんが、大いに納得できる事とちょっと反論したくなる事が書かれています。

原文をお載せしたいのですが、彼の了解を得ていません。興味のある方は、宋さんに、直接メルマガをリクエストしてください。

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彼の主張は、日本の人々は自国の農業の事を知らな過ぎるという事と、国民の無関心と政府の保護が農業をダメにした・・という点に尽き、日本の農政を一刀両断にしています。

この点については、全く同感です。

オヒョウ自身が農業についてあまりに無知であり、無知・無関心を指摘されるとグウの音も出ません。ただ、政府の保護無しで、農業がたくましい産業に育っていたか・・というとそれも疑問ですが・・。

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そして、彼は返す刀で、日本人が中国の農業や農産物について、過剰に反応し危険視している事を批判しています。中国の農産物の大半は安全であり、評価するべきなのに、日本人はそれを無視しているのは勿体ない・・と主張します。

その点も、オヒョウは賛成するのですが、そこからがおかしいのです。

彼は、日本の農業が先進国の中では突出した量の農薬を使用している事と、中国にある日本企業の食品工場で大量の食品添加物を使用している点を挙げ、日本食品だって安全じゃない・・・と主張します。

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しかし、彼は第一に農薬と食品添加物をいっしょくたにして議論しています。でも両者は性格も食物に与える影響も全く異なります。しかも、農薬を多用する事が必ずしも悪いことではない・・・としながら、一方で農薬を多用する日本農業を批判しています。矛盾しています。

更に、彼の食品添加物の話は不確かな伝聞であり、具体的な事実は挙げていません。自分は工学博士の学位も持っているからデータの扱いには慎重だと言いながら、やや支離滅裂です。ここでも矛盾しています。

それにしても、つまらんところで自分の学位を自慢するものですね・・。

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オヒョウは中国産の農産物も、日本の農業も否定せず肯定します。しかし、どちらにより多くの問題があるかと言えば、中国の農業です。問題だらけです。その辺りを考察する前に、そして両者を比較する前に、オヒョウは基本的な点を確認したいと思います。

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農産物や食品に関して、理屈はともかく、あくまで天然・自然に拘り、人工的なもの、人が介入したものを忌避する考え方が確かにあります。 オヒョウは、そういう思想を自然食品原理主義と言います。勿論、オヒョウの造語です。 

例えば、漫画の美味しんぼに示される雁屋哲の発想はこれに近いでしょう。 養殖物の魚より天然物の魚の方がかならずおいしいと断言し、化学調味料を軽蔑して、昔ながらの調理方法を尊重し、全ての食材は天然ものでなくてはならない・・という思想です。 そして農産物は化学肥料を不可とし有機栽培でなければならないと主張します。

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中国産の農産物を拒否する人の一部は、この自然食品原理主義者です。宋文洲氏が、日本の農業や食品工業を批判するのも、或いはこの視点からかも知れません。

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でも、オヒョウは自然食品原理主義に反対です。一概に食品添加物を否定する事も、農薬を否定する事もできません。 そこを説明して日本農業そして食品工業を弁護したいと思います。しかし農薬ひとつをとるにしても、あまりに世界が広いので、簡潔にまとめて断定的に説明する事は、オヒョウにはできません。そこで、ひとつの例として、食品添加物の防腐剤をとりあげます。

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以下は日本で使用する防腐剤についてのオヒョウの応援演説です。

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読者諸兄が口にされる食品に防腐剤が入っているとしたら、愉快ではないと思います。微かとはいえ、毒性もあるでしょう。だからオヒョウが、防腐剤が入っている方が健康にいい場合もある・・などと言えば、即座に反論されるかも知れません。

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食品に添加される防腐剤としては安息香酸が代表的です。また日本酒に以前添加されていた防腐剤は主にサリチル酸です。どちらも自然界には存在しない化学物質であり、大量に摂取すれば健康を害する可能性は否定できません。 ある確率でアレルギーになり、ある確率でガンになるかも知れません。

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でも、それは食べ物を腐らせない文明生活を営んでいる人の発想です。日本の様に、冷蔵庫も冷凍庫も完備した世界ばかりではありません。日本の様に、物流システムが発達し、短時間の内に消費者に食べ物が届く世界ばかりではありません。アフリカの低開発国では、ある確率で腐敗したものを口にしなければなりません。 いやアフリカだけではありません。 中国に3年以上駐在した人で、一度もおなかをこわさなかった日本人をオヒョウは知りません。それらの国では防腐剤を食品に添加した方が安全で健康的なのです。

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全世界で、腐敗したものを食べて食中毒になって死ぬ人と、食品添加物でガンになって死ぬ人のどちらが多いか・・と言えば、食中毒の方が遙かに多いと推定されます。特に低開発国で、防腐剤に安息香酸を用いる場合は、明らかに防腐剤を使用した方が、使用しない場合より安全です。

防カビ剤の場合も同様です。アフリカで防カビ剤を使用せずにカビが生え、アフラトキシンが生成されれば、その毒性は防カビ剤の比ではありません。 

だから防腐剤の使用は、商品の賞味期間を長くして在庫の商品価値の減損を防ごうという、売る側の利益を考えた悪徳商法の為だけでなく、消費者の健康を守るという、善意の行為でもあるのです。

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低開発国の場合はどうでもいい。日本では防腐剤は無意味だ・・という意見もあります。 しかしそうではありません。冷蔵・冷凍技術が発達した日本でも、ある確率で食中毒の事故は発生します。人々のグルメ志向で、食品の加熱処理を弱くしたり省略する事もありますし、地球温暖化や都市のヒートアイランド化で気温が上がった事も食中毒の危険を増しています。 防腐剤は、その事故を防ぐ保険になります。

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宋氏は、日本の食品にはハイテクの化学物質を大量に使用して危険だが、中国の防腐剤は古典的な塩であり、だから中国の方が安全である・・と説明します。確かに、塩は最も古典的な防腐剤ですが、塩化ナトリウムという歴とした化学物質です。 

それに塩の大量消費は高血圧とそれに続く疾病、或いは胃ガンの原因にもなります。 実際、欧米では冷凍船が開発されるまで、多くの食肉は塩漬けで保存され、その為に胃ガンの発生率が高かったというデータがあります。宋氏が、日本の防腐剤(ハイテク化学物質)は健康に有害で、中国の防腐剤(塩=ローテク化学物質)が無害である・・・とするのは、単なる思いこみかも知れません。

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ここでは食品の防腐剤について、偏った意見を述べましたが、次号では日本酒の防腐剤について、その弁護をします。                                       


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牛肉麺

防腐剤と塩、どっちが体に悪いか分からないですが、先進技術と保守伝統をどっち信用するかによりますね。
因みに食品に関係ないですが、日本の家庭用化学品も発達していて、芳香剤、消臭剤、カビハイター等一般的によく使われています。手軽かつ衛生というイメージですが、副作用はどうですか。中国ではあまり見ないですが、日本によくあるアトピーなどのアレルギーはこれと多少関係あるかなと勝手に推測しています。根拠はございません。単たる保守主義者の科学に対する不信でしょうかね。
by 牛肉麺 (2009-10-07 11:29) 

笑うオヒョウ

牛肉麺さん、コメントありがとうございます。
鋭いご指摘を頂きました。 防腐剤と塩、どっちが体に悪いか、確かに分かりませんね。 塩の摂り過ぎについては、いろいろと医学的に解明されているみたいですが、微量化学物質(特に芳香族)の人体に与える影響については未解明の部分が多いですから・・・。そうなるとオヒョウの主張も怪しくなるのですが・・・。 ただ、宋文洲氏は、ハイテク添加剤の未解明の悪影響の分を評価した上で、古典的な塩に軍配を上げた訳ではないようです。
保守伝統を重んじる方のようです。
ところで、中国ではあまり家庭用化学品を使いませんでした。 しかし、一度だけ、飲み屋の個室にドリアンを持ち込み、その強烈な臭いで大顰蹙を買ったことがあります。 後日、その店の老板に尋ねたところ、翌日すぐにスプレー式消臭剤(ファブリーズみたいなものか)で消臭したそうです。
だから、中国にも消臭剤があるのだ・・と知った訳です。
by 笑うオヒョウ (2009-10-08 02:58) 

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