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【 クビ長さん 】 [日本語]

【 クビ長さん 】 

最近、地方自治体の発言力が増し、政府・国政との丁々発止のやりとりがマスコミによく登場します。国政を担う大臣も「よく各自治体のクビ長さんと相談しながら進めていきます」などと、自治体におもねった表現をします。 

ところで「クビ長さん」って何だ? 

そこで思い出すのは子供の頃の社会科の授業です。

先生が 「県知事や市町村長など、自治体の一番偉い人を首長と言います。いいですか、酋長(シュウチョウ)ではありませんよ、首長(シュチョウ)ですよ」 と念を押されると、クラスの子供達はドッと笑いました。 

酋長と言えば、アメリカインディアンの部族長か、アフリカや南方の未開民族の部族長をイメージしてなんとなく滑稽だったからです。でもオヒョウは笑いませんでした。

 なぜなら酋長って何だろう?と疑問に思ったからです。 確かにインディアンで一番偉くて、大げさな羽根飾りを付けた人を酋長と呼ぶ事は知っていましたが、その言葉の意味を知らなかったのです。

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だから、その首長をクビチョウと発音する事には抵抗があります。世の中には、重箱読みや湯桶読みの様に、一つの熟語で音読みと訓読みが混じる事がありますが、あくまで例外です。普通、熟語は音読みか訓読みで統一されるのが自然だと、オヒョウは思います。 

そして音読みで正規の発音があるのに、敢えて、訓読みを混ぜて変則的な読み方にする場合は、それなりの理由が必要です。具体的には、同音異義語との混同を避ける場合などです。

例えば、化学をバケガクと発音する事はよくありますが、これはご存知の通り、科学(カガク)との混同を避ける為です。

では首長の場合はどうか? 市長(シチョウ)、州長(シュウチョウ)、酋長(シュウチョウ)の聞き間違いを避ける為に、敢えて(クビチョウ)と発音するのかも知れません。 

でも、同じ首という漢字でも、クビと発音する場合と、シュと発音する場合では、微妙に意味が違います。クビは、肉体の部位を指す場合に用いますし、馘首など生殺与奪に関連する用語に用いる場合に用います。 シュの方はそれらの意味に用いる事もありますが、多くは、一番、最上位の意味で用いる時の発音です。英語で言えばprimeです。 意味が全く違います。

首相や首席、首長の場合は、あくまでシュであってクビであってはならないのです。

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しかし、人々の中には奇をてらって、敢えて変則的な読み方をする人がいます・・・。出発をわざとデッパツと読んでみたり、経常利益をケイツネリエキと読む人です。 かつて、製鉄所でオヒョウの上司だった人も、なぜか業績を部下に説明する時、得意になってケイツネ、ケイツネ・・と連発していました。計上と経常を混同しないために・・・という理由も考えられますが、技術屋で経理についての知識の非常に乏しい人だったので、本当にケイツネという、重箱読みが正しいと信じていたのかも知れません。或いは経理の専門用語を語るのが嬉しくて、気取ってみたのかも知れません。

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TVに登場する政治家が、首長を本当にクビチョウだと思っているのか、それとも、格好をつけて湯桶読みで発音したのか、そこは分かりません。

しかし上記の通り、クビチョウという発音は適切と思えません。ましてマスコミを通じて、国民に語りかけるのに、俗称を使うのは上品な趣味とは思えません。

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でももし彼らが、酋長と混同しないように、クビチョウと発音したのなら、そのウィットは評価できます。なぜなら全国の自治体のトップの中には、随分レベルの低い人もいる様で、首長と呼ぶより、酋長と読んだ方が似合っている場合も多い様に思えるからです。クビチョウという表現がその皮肉なら面白いのですが・・・。

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今、マスコミには地方の声が多く報道され、国と地方の関わり方を見直すべきだという意見が聞かれます。

恐らく民主党政権は地方分権を更に進めるでしょう。 これは時代の流れであり肯定すべきものですが、玉石混淆の地方自治体の政治を思うと、地方への権限委譲の方法は慎重に考える必要があります。

本来、酋長と呼ぶべき首長はクビにする(クビチョウにする)手続きと引き替えに、財源や権限の委譲を図るべきだと、オヒョウは思います。

(今回のオチはかなり苦しいダジャレですが)


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