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【 アジア共通通貨の夢 その2 】 [ビジネス]

【 アジア共通通貨の夢 その2 】

 ユーロを導入する際、参加国には厳しい宿題・・というか条件が課されました。

収斂基準とかマーストリヒト基準とか言われますが、ユーロの仲間に入るには財政が健全で、物価が安定し、為替相場も安定し、長期金利も一定範囲内にある事が条件です。 

細かい説明は省きますが、特に財政の健全化については、新規国債の発行額がGDP3%以下という条件があり、多くの国にとって最大のハードルとなりました。中には夏休みの宿題のように、期限ギリギリになってクリアーした国もあります。 ユーロ発行に乗り遅れない為に、慌ててユーロ導入税を設けて、財政健全化を進めた国もあります。 国民にとっては増税であり、痛みを伴って手に入れたユーロです。

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突飛な例えですが、ユーロ圏に入るという事は・・・日本でプロの将棋指しが仲間内の勉強会に入る事に似ています。 勉強会に入れば、自分の棋力が上がり得しますが、そもそも一定以上の実力が無ければ入れて貰えません。 その結果、強い者はより強くなり、弱い者はそのままです。

オヒョウがいた頃の英国では結局マーストリヒト条約が批准されませんでした。その頃、英国はユーロへの参加を検討していたのですが、実現しなかったのです。 理由はかなり複雑ですが、その頃ヘッジファンドが英国ポンドを売り浴びせ、短期間に英国の膨大な富を奪う・・という事件がありました。オヒョウはそれがきっかけで、ユーロへの参加を断念したのだと思います。 メージャー首相(当時)はそれで国民の信を失いました。

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アジアではどうでしょうか?東南アジアの通貨危機の際、同じようにヘッジファンドがタイバーツなどを売り浴びせて経済危機をもたらし、その復興には長期間を要しました。 ACUやAMFが設立されれば、それらの災難を防止できますが、ACUを導入する各国に、それを支える力があるか不明です。

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アジアの主要国が収斂基準を満たしているか・・・考えます。

まず、経済危機に何度も見舞われ、IMFに救済されている韓国は、財政の健全性でOUTです。 

日本も現在の経済状況から考えて、新規国債をGDP3%以内にする事は無理で、OUTです。

そして外貨準備高も経済成長率も立派な中国ですが、基準に照らし合わせると、物価上昇率でひっかかるでしょう (物価が最も安定した3カ国の平均に対して、+1.5%以上の上昇率だとOUTです)。 経済成長率も他の国に対して高すぎるとOUTです。

つまりユーロの導入基準で考えた場合、アジアの主要国が軒並みひっかかるのです。 これでは共通通貨は成り立ちません。 

20世紀後半以降、アジア諸国は「アフリカよりましなアジア」から「欧州と肩を並べるアジア」に脱皮しようとしていますが、共通通貨に付いては時期尚早だとオヒョウは思います。 

将棋の奨励会員が集まって勉強会をしても、A級八段の勉強会にはなりえないのと同じです。 

鳩山首相が、友愛精神の元に、経済面でのアジア共同体を目指すのは結構ですが、通貨の統一については熟慮が必要です。幸いにして、通貨政策に取り組む藤井財務相が顧問として迎える行天豊雄氏はこの分野の第一人者だそうです。 彼等がうまくコントロールし、政府が慌てて中国の誘いに乗らない事を期待します。 外国にはええかっこをして、国民には負担を強いるというのはCO2削減だけで結構ですから。

済みません。 漢字を間違えました。

行天豊夫さんではなく、行天豊雄さんでした。

お詫びして訂正します。


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