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【 おからの心 その1 】

【 おからの心 その1 】 

航空自衛隊が次期主力戦闘機(FX)に希望していた、現在最強とされる戦闘機F-22の日本への提供は、結局許可されず、代わりのF-35の採用を勧められています。

F-22F-35の違いやFXへの適否についての議論はここではしませんが、これは日本にとっても米国にとっても、重要な意味を持ちます。 

これまで日本の航空自衛隊は、いつもFXとして、世界最高性能でかつ価格も高い贅沢な戦闘機を希望してきました。高性能の兵器や武器が欲しいのは、どの国の軍隊も同じですが、そこは予算の制約があり、費用対効果も考えて妥協します。

普通はハイローミックスと呼ばれる編成で、高性能で高価な戦闘機と、性能はやや劣るも安価な戦闘機の両方を採用します。

日本の自衛隊も基本は同じですが、高性能な方の戦闘機には常に世界最高のものを欲しがるのです。 それには自衛隊固有の事情があります。

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現代の空中戦は、パイロットの技量で勝負が決まる訳ではありません。搭乗する戦闘機の性能差、それに環境(周囲から得られる情報量の差)で全てが決まります。 どんなに優秀なパイロットでも、相手の戦闘機の性能が勝れば勝てません。 

これはフォークランド紛争や、第四次中東戦争で明らかになった事です。それならば、自軍のパイロットの生命を守るには、可能な限り高性能の戦闘機を用意するしかありません。

 もし、日本が不幸にして他国と戦争する事になった場合、日本にはハンディキャップがあります。それは戦力を持つことや戦闘行為をすることに全国民の理解が得られるとは言えない事情です。 厭戦思想、反戦思想がある中で、戦死者がでれば、例え自衛の為の戦闘であっても、厭戦機運が高まり、戦闘を継続できなくなる可能性があります。

どの国の軍隊でも兵士を死なせたくはないのですが、日本の場合は兵士の命がとりわけ重いのです。 国民の支持がないからこそ、高性能な戦闘機が必要という逆説的な事情です。 

これまでのPKF派遣であれ、イラク支援活動であれ自衛隊は戦闘行為に巻き込まれない、比較的安全な役割を分担していました。今回の、F-22をあきらめろという事は、自衛隊にも普通の軍隊になれ・・という意味を持ちます。

そして米国がF-22の認めないという事には、もう一つの意味があります。 

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自国にとって信頼できる友邦の序列は、いろいろな形で示されます。

英国の場合、戴冠式や王族の結婚式でのテーブルの序列で、友好国の序列を示します。

米国の場合、信頼できる国の順番は、新兵器の供給順序で決まります。かつて、F-15が最新鋭であった頃、この戦闘機が使えた同盟国は限られていました。具体的には危険な中東地域で常に米国の味方であるイスラエルとサウジアラビア、それに極東の日本だけでした。

その後、この飛行機が陳腐化するにつれて、世界中の西側諸国が持つ様になりましたが、その順番には意味がありました。 

F-22についても、米国以外で最初に導入するという事は、米国の信頼が一番厚い事を示すものですが、米国はそれを拒否しました。 日本の自衛隊の情報管理が杜撰である事、日本という社会がスパイ天国である事などの事情もありますが、微妙に米国一辺倒ではない、日本の政治状況や、国民意識を懸念しての事かも知れません。 

米国は、金融危機以降、日本の自民党が急速に支持を失い、民主党が台頭してきた事をよく知っています。 そして民主党が、米国にやや距離を置き、アジア諸国やロシアとの関係を重視していく考えである事を知っています。 その彼等が早い段階から、日本で政権交代ありうべし・・と考えていたならF-22の輸出やライセンス生産許可は、あり得ない話でした。 

米国がF-22をあきらめろ・・・と言うのは、自衛隊の甘えをなくせと言うのと同時に、民主党政権への懸念を示すものです。 

一方、日本の民主党政権は、社民党と連立するくらいですから、防衛費の削減を図るでしょう。 同時に中国、韓国、北朝鮮への配慮から、自衛隊の活動を厳しく制限する方向に動くでしょう。 防衛問題や兵器の調達について詳しいスタッフも少ないでしょうからFX問題も当面話題にならず、F-22F-35かの議論も先送りになるでしょう。 

ただ一つ・・・、理解できないのは小沢一郎の子息が防衛大学校出身の幹部自衛官である事です。 民主党はどちらの方角を向いているのでしょうか?

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ところで、極めて素朴な疑問ですが、平和を希求し、戦争を避けたい・・・と思っている自衛隊が、最高性能の兵器や武器を欲しがるのは、大変な矛盾ではないか・・・とオヒョウは思います。 それに対して、以前オヒョウの老母は、「それはね『おからの心』です」と言いました。 「おからの心」とは何か? 次号で申し上げます。


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